ラビアレ

子猫

アレンが子猫を拾ってきた。

ラビは元いた場所に返してきなさいと珍しく怒っていた。神田も命をそんな簡単に拾うもんじゃねぇと怒った。
リナリーはアレン側に着いた。こんなにも可愛いのにいいじゃない。彼女の一声は鶴の一声同様であり、室長によって子猫はアレンの部屋での居住を許された。

ノック無しに扉を開ければ子猫とアレンが転がっていた。白猫2匹。
これを微笑ましいと思わないでは無いが、やはりラビは今でも子猫をアレンが飼うことには賛成しかねる心情であった。
「その猫やっぱ飼うんさ?」
「当たり前ですよ、許可も貰った事ですし途中で投げ出す方が可哀想でしょう?」
アレンはずい、と子猫を近づけさせた。
ねこ嫌いなんですか?嫌いじゃねぇけど。ならいいでしょう?子猫はにゃあと鳴きアレンはニコニコと笑っていたがラビとしてはそういう問題では無かった。
別に猫だから反対してる訳でもない。言ってしまえば犬でも鳥でもウサギでもパンダだろうが赤ん坊だろうがアレンが何かを飼う事に反対なのだ。
これが神田やリナリーなら何とも思いやしないのだ。だってこの少年には前科がある。だからラビは反対なのだ。
可愛いがる分には良い。でもそれ以上は駄目だ。この子供にペンタクルは二つもいらない。重ねられた呪いなど吐き気がする。
「なぁ、アレン」
「くどいですよ」
眉間に皺を寄せたまま子猫を睨みつける彼にため息を吐く。
ラビってば冷たいねと猫に話しかけた。名前はまだ付けていない。今度リナリーと一緒に考えよう。
彼の言わんとしている事は分かるが、しかしその心配は要らないのに、むしろ君の方が危ないのに。
2番目のマナになるなら危ないのは人間だ、猫じゃ無理だろう。だって猫のアクマなんて見た事も聞いたこともない。いつだって呼び出されるのは人間なのに。そんな事にいつまで経っても気づかない彼に呆れてしまう。
「心配しぃですね。大丈夫ですよ、マナは本当に僕にとって特別で別格だったんです。そう簡単に新しいマナなんて生まれっこない」
「…それは」
言い澱む彼ににっこり笑って黙らせる。あんまりしつこいと武力行使も辞さない構えだ。
ラビはぐしゃぐしゃに頭を掻き回して項垂れた。
「ああ〜もう嫌んなるさ!マナが羨ましい!アクマにはなりたく無いけどアレンの特別にはなりたーい!」
「馬鹿ですねー」

父親と恋人じゃ特別の種類が別でしょうに。
馬鹿なうさぎさん。

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